丸山 理留敬 (島根大学医学部名誉教授)
徳洲会はがん医療を充実するために2013年より病理部門の整備を開始しました。2016年には九州(福岡)に病理診断センターを開設し、2018年には大阪(八尾)、東日本(成田富里)に相次いでセンターを設置しています。2020年8月には新たに湘南地区と、中四国では初となる出雲に病理診断センターを設立しました。
出雲徳洲会病院病理診断研究センター(Tokushukai San-in Pathology Center : T-SAP)には現在常勤病理医3名が所属しており、全例ダブルチェックを行い診断精度の向上に努めています。また、特殊染色や免疫染色の態勢を整えつつあるとともに、診断困難例については全国の著名な病理医をコンサルタントに委嘱し、万全の対応を目指しており、院内の術中迅速診断も行っています。
病理専門医が全国で約2,500名と少ないわが国では、病理医のいない多くの医療機関は従来、組織診と細胞診の約半数を民間検査会社に提出して「病理検査結果」を得てきましたが、民間検査会社では標本作成は行えても「病理診断書」を発行できません。
したがって医師が行っている病理診断に対して診断料を徴収できないなど多くの問題があった上に、残念ながら医療機関との契約で大幅なダンピングが常態化しています。
しかし、2020年3月26日付の日本病理学会から厚生労働省への疑義照会により、病理診断は医療法に基づく医行為であるため、民間検査センターではできないことが厚生労働省医政局より明確に示されました(別紙1参照)。
これにより民間検査会社では病理報告書に病理診断名を使用することができなくなりました。
このような状況においてT-SAPへ病理検体を提出されますと、診断料を徴収できさらに質の高い「病理診断書」が得られること等、多くのメリットがありますので、ご利用をお薦めします。また当センターと民間検査会社が連携し従来通り民間検査会社に標本作製を依頼された後、診断は当センターが発行する病理診断書を受取ることも可能となります。